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【Manabie①】「最高の教育」を「世界の隅ずみ」まで届けたい!ベトナム発のManabieの挑戦。

本記事は、2020年8月にベトナムの日本語情報誌Vetter及びWebポータルVIETEXPERTに掲載された記事をもとにVetterより寄稿いただいたものです。当時の記事を再構成したうえで、新たな質問も追加し、Manabie CEOの本間氏に回答いただきました。①は、本間氏に伺った、Manabie創業に至るまでのストーリーについてです。

<Manabie>
Manabie Corporate Website: https://manabie.com/
Manabie VN: https://manabie.com/vn/home

1. Manabie(マナビー)とは?

マナビーは「Preparing us for tomorrow’s world」というミッションのもと、小中高生向けオンライン教育アプリの提供、学習センター(OMO型デジタル学習塾)の運営、また、現地の私立学校や日本人学校向けのオンライン移行サポート事業を展開。今年4月には、さらなる事業拡大に向けて総額約5.2億円(480万ドル)の資金調達を実施した。投資家には、元・サッカー日本代表の本田圭祐氏、ラクスル創業者の松本恭攝氏、IT企業経営コンサルタントの梅田望夫氏、グノシー創業者の福島良典氏のほか、VCや個人投資家などがいる。

インタビュー回答: 本間 拓也 氏
Manabie INTERNATIONAL PRIVATE LIMITED|CEO(創業者)
山形県出身。東京大学経済学部を中退し、英国University College Londonを卒業。卒業後、同じヴィジョンを持ったDeNA創業メンバーの渡辺氏と意気投合し、ロンドンでオンライン教育アプリ「Quipper(クイッパー)」を創業。世界9か国に展開するまでに成長したあと、リクルートグループに売却。その後、「クイッパー」はリクルート社の「スタディサプリ」と融合。2015年から2019年までは、同社のインドネシアカントリーマネージャーとして新興国教育の最前線に。2019年に退社し、ベトナムでManabie(マナビー)を創業。

 

2. 子どもの頃の学習体験は、今につながっていますか?

母が小学校の教師で、楽しそうに仕事をしていたのが印象的でした。
そういうこともあり、「学習」は子どもの頃から身近だったと思います。ただ、自分も同じように「教師になろう」と思ったことや、家庭教師などで人に勉強を教える経験をしたことはないんです(笑)中学校くらいからは学校での授業をさぼったり、大学時代もあまり学校にいかない学生でした。
その代わり、自学自習することが好きで、当時は教育に対して自分なりの不満を持つこともあったのですが、そういった性格ゆえに「教育」というものを客観的にいろいろな角度から見ていたことが、今自分がやっている「オンライン教育」につながっていると感じています。

日本の教育のどういったところに不満を感じていたのですか?

一人の先生が数十人の生徒に対して同じ内容の授業をするのは、仕方ないとはいえ無理があるなと感じていました。生徒ひとりひとりで理解度が異なるのに、みんなで同じことをやるのは変だなと。
また、受験用の勉強がベースになっていると思うので、いまの時代を生き抜くために本当に必要なスキルがカリキュラムとマッチしていないような気がしていました。英語やプログラミングなど徐々に追加されていっていますが、それはそれで先生たちが大変な思いをされているだろうなと。昔からのカリキュラムに加えて、新たな学習が追加され、同じ内容の授業を何度もするというのが、先生と生徒の双方にとって本当に生産性の高いものなのか疑問に思っていました。

一方で、日本は全国津々浦々で参考書が売られていますし、塾もどこにでもある、学校の授業も平均的に高いレベルのもので、ほとんどの人が一定水準以上の教育を受けられるところはすばらしいと思っています。新興国では、そもそも学校もなければ、参考書もないというような状況の人たちもたくさんいるので、まずはそれを解決したいと思うようになっていました。

3. 一貫して教育事業に取り組んできた本間さんにとって、その源となっている具体的な原体験はありますか?

英国学生時代、友人との写真

東京大学へ進学したのですが、3年生のときに中退し、英国の大学に通いました。2007年くらいにiTunesが世界中の大学と提携してオンラインでいろいろな授業を聞けるというサービスを開始し、その中にはハーバードやスタンフォードといった大学もあり、世界のどこにいてもトップレベルの授業を受けられることに強い衝撃を受けたことを覚えています。この衝撃が原体験なのかもしれません。

ロンドンでクイッパーを立ち上げた頃の様子。さまざまな国の人たちと過ごした日々は、多様性が当たり前の世界で生きる力を与えてくれた。

英国での学生時代には、インドやアフリカ、中国などを旅したのですが、そのときに「現地の子どもたちが2時間かけて学校に通い、先生が来なくてまた2時間かけて帰る」という現場を見ました。
2010年頃のことですが、教育インフラがまだ成熟していない国でもスマートフォンの普及は急速に進んでいました。そのときに、インターネットを介して高度な教育にアクセスしようと思えばできる、その土台はそろってきている、ということに気がつきました。同じ頃、同じヴィジョンや考えを持っていた渡辺さん(※)に出会い、ロンドンで一緒にQuipper(クイッパー)を創業することとなりました。
※渡辺雅之氏:DeNA共同創業者。2010年に同社を退職後、ロンドンで学習プラットフォームサービス「クイッパー」を創業し、CEOを務めた。

4. その後、クイッパーはどうなりましたか?

クイッパーにいる間、学校に行けないすべての子どもたちに「教育を届けたい」ということに取り組んできました。同社は創業4年半でインドネシア、フィリピン、メキシコなどにもオフィスを持つようになり、2015年にリクルートグループに売却することとなりました。私はクイッパーのブランドを引き継ぎ、Quipperのインドネシア・カントリーマネージャーとしてクイッパーの成長にコミットすることになりました。インドネシアのカントリーマネージャー時代。インドネシアの学校を回って多くの学生たちの声を聞いた。

クイッパーのプラットフォームを基にした日本でのブランド「スタディサプリ」は2019年時点で、有料会員が世界で127万人(日本国内110万人)となっています(※)。
※スタディサプリの会員数については、以下の記事を参照したもの。
日経クロステック:
スタディサプリ「生みの親」が語るオンライン特需、「二次関数で伸長」

5. クイッパーは順調なようですが、どうしてマナビーを創業しようと思ったのですか?

クイッパーを通じて、世界の隅ずみまで教育を届けるという「教育へのアクセス」については、きっと達成できるだろうと感じていました。私は一貫して「最高の教育を世界の隅ずみに届ける」というヴィジョンを持っているのですが、「世界の隅ずみ」についてはもう少し頑張ればいけそうな気がしていました。

一方で、オンラインでの学習体験がオフラインのそれに勝っている状態にならないと、真の意味での学力の向上につながらないと考えるようになっていました。そこで、「最高の教育をどうやって届けるか?」という課題の解決にチャレンジしたくなり、クイッパーを離れ、2019年にマナビーを創業しました。

(②に続く)

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